法人口座と個人口座の違い
海外FXにおける個人口座と法人口座の税率の違いについてわかりやすく表にしてみました。
個人口座 | 法人口座 | |
---|---|---|
税率 | 所得金額に応じて5~45%の所得税 +住民税10% |
所得金額に応じて19~23.2%の法人税 +法人事業税+法人住民税 |
最大税率 | 55%(所得税+住民税) | 約34%(法人税+法人事業税+法人住民税) |
所得の種類 | 雑所得 | 事業所得 |
海外FXで得られた利益に対しては、「累進課税」が適用されます。
つまり、所得金額が増えれば増えるほど税率が高くなる仕組みです。

海外FXの個人口座で得た利益には所得税が課され、法人口座で得た利益には法人税が課されます。
法人税の最大税率(23.2%)は、所得税の最大税率(45%)を下回っているため、利益が大きくなればなるほど、個人口座よりも法人口座の方が税率を低く抑えることが可能になるのです。
海外FX法人化によるメリット
経費の幅が広がる
個人でFXトレードの経費を使おうとしても、それには限界があります。
- 書籍代
- 通信費
- セミナー費用
- パソコン費用
- トレード用の家具費用
ぐらいでしょう。


- 接待交際費
- 住居を役員社宅として経費計上(100%の計上はできないが50%以下にはなる)
- 出張(海外旅行)の経費
- 交通費
- 生命保険の掛け金
- 退職金


FXトレードのみの会社で接待交際費の説明がつかないようであれば、新規事業で制作会社でもやっているようにしてしまえば良いのです。
法人であれば、複数の事業をやっていることは普通のことですので、打ち合わせが必要な業務を入れ込めば、多くの会食が打ち合わせや営業・接待の経費として計上できるのです。
給与所得控除が使える
個人事業主の場合は、給与所得控除はありませんので、すべての方に共通するのは「基礎控除38万円」のみとなります。
法人化して給与という形で、代表取締役が利益を受け取れば「給与所得控除」が使えます。
「給与所得控除」
給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
---|---|
1,800,000円以下 | 収入金額×40%(650,000円に満たない場合には650,000円) |
1,800,000円超~3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超~6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超~10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超 | 2,200,000円(上限) |
という大きな控除が受けられて、ここでも節税になるのです。
家族に給与支払いができる
個人事業の場合は、基本的には家族に対して給与支払いをするためには
- 同一生計
- 15才以上
- 事業に専従している
- 労務の対価として相当である
- 予め税務署に届け出る
などの条件をクリアしていなければなりません。


「FXトレードのトレードノートを記録する役務」「経理作業」を奥さんに頼んで常勤役員にできるので、支払った給与を経費として計上することが可能になるんです!
ちなみに非常勤役員とすれば、ほぼ仕事をしなくても給料を支払うことができます。
所得税というのは「累進課税」ですので例えば、会社に1,000万円の利益が出て、損金(経費など)がない場合、そのまま1,000万円が課税されてしまいます。
しかし、利益を配偶者と500万円ずつ分けた場合、次のように課税所得を抑えられるのです。
- 個人として500万円の給与収入は、144万円の給与所得控除により給与所得356万円に
つまり、給与所得控除144万円の2人分である288万円を課税対象から外せるのです。
ちなみに、今回の例では所得税の税率は変わりませんが、所得税率は所得が高いほど税率が高くなるようになっています。
法人化での節税と言えば「役員報酬での節税」と考えられるほど代表的な節税方法となっているので、ぜひ押さえておいてください。
ただし、役員報酬や給与は必ずしも支払った全額が損金として算入できないため注意が必要です。
- 1,000万円を1人に給与を出す(税率:33%)
よりも
- 500万円を2人に給与を出す(税率:20%)
方が、何倍も税金が安くなるんです!
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円> | 5% | 0円 |
195万円<330万円 | 10% | 97,500円 |
330万円<695万円 | 20% | 427,500円 |
695万円<900万円 | 23% | 636,000円 |
900万円<1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1800万円<4000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円< | 45% | 4,796,000円 |
最大9年間損失繰越が可能
国内FXであれば、損失は3年間繰り越すことができます。
海外FXの場合は、損失繰越はできません。

退職金を受けとれる
- 退職金は、半分は税金から控除されるので税金がかからない
- 退職金は、分離課税である
というメリットがありますので、稼ぎすぎていても、法人に内部留保を貯めておけば、いざという時に節税した状態で法人から個人へ所得を動かせるのです。
社会保険に入ることができる
これはデメリットととらえる方もいますが
- 個人事業主 → 国民健康保険、国民年金
- 法人 → 厚生年金、健康保険
と違いがあるため、保険料は高くなるものの、将来受け取れる年金額などが増える「社会保険」に加入することができます。
出張手当を受け取れる
法人の場合、出張をすれば、その分出張手当を出すことが可能です。
相続税対策になる
FXを法人化すると、相続税も対策できます。
株式会社としてFXを行う場合、法人は株主のものとなり、利益の配当も株主に渡ります。
たとえば自分の子供を株主とすれば、法人で残った利益を子供のものにすることができます。
こういった相続税の対策ができることから、株主を家族にしているケースも少なくないんです。
海外FX法人化によるデメリット
法人口座を開設することによってのメリットはとても多いです。
しかし、決してデメリットがないというわけではありません。デメリットとして挙げられる具体的な例が
- 設立費用の発生
- 課税対象の増加
- 地方税の発生
- 法人住民税7万円
- 委託コスト
- 口座開設の手間
設立費用の発生
会社を設立するためには約20万円~25万円程度の初期費用が発生します。
これは、定款認証や登録免許税などのコストにあたります。
課税対象が増加
法人としてFXを行う場合、課税対象が増えます。
個人だと未決済のポジションは課税対象ではないのですが、法人化するとこれも課税対象となるんです。
たとえばスワップポイントを狙って長期的なトレードを行う場合、保有中のポジションにも税金がかかります。
当然確定している損益も課税されるので、法人では決済済みと未決済の損益どちらも計算する必要があります。
地方税がかかる
FXを法人化すると、毎年地方税を支払わなければなりません。
地方税は固定でかかる費用なので、たとえ赤字でも納める必要があるんです。
- 資本金1,000万円以下:7万円
- 資本金1,000万円以上:18万円
上記のように地方税は、資本金1,000万円を基準に、納める金額が変わります。
法人住民税7万円の発生
法人税のほとんどは、利益に対して課税される為、赤字の場合は税額は0円になるのが普通です。
しかし、1つだけ例外があり、法人住民税の7万円分は赤字でも支払う必要が出てくるのです。
委託コストがかかる
自分でできる人は利用する必要はありません.
しかし、決算の委託のために、【税理士】【会計事務所】を雇ったりする方が多いと思います。
その【税理士】【会計事務所】の報酬は、コストがかかる要因の1つとなってしまいます。
口座開設の手間
海外FXの法人口座開設は、個人の口座開設よりも、多い数の書類が必要になってきます。
用意する書類が増えるため手間がかかるのは間違いありません。
その一例として下記の項目があります。
法人のお客様は必要書類をご準備いただきます。下記の書類(交渉人もしくは弁護士によって原本のコピー本紙であることを証明されたもの)をご用意ください。
- 本定款および付属約款
- 法人設立認可証(ただし設立証書の日付が12 か月以上前のものである場合は、過去6 ヶ月以内に発行された会社存続証明書が必要)
- 登録住所証明書
- 役員および秘書一覧書 E. 株式名簿
- 在職証明書(適用される場合)
- 取引口座を開設することを承認し、承認された人物が申込書に署名して口座を運営することを任命し、投機商品に投資することへの承認に言及した取締役会決議/議事録
- 権限者の認証済み/公証済み/正式なコピーのパスポートまたはID、および住所確認書類(例:公共料金の請求書など)
- 会社の全ての株主/所有者のパスポート/ID および住所確認書類(例:公共料金の請求書など)


法人化するタイミング
一般的にFXトレードに関係ない状態で個人事業主の法人成りの目安は年収600万円とされています。
FXの場合は、
- 個人だと経費にできるものが少ない
- 損益繰越が重要になる
という特徴があります。
その為、もう少し収益が小さくても法人化を検討してもいいかもしれません。
法人口座の開設方法
法人口座の開設方法は各業者によって異なりますが、大まかな流れとしては大体一緒なの、簡単に説明しておきますね。
法人口座開設の流れ
海外FX業者で法人口座を開設するには、個人口座とは別の手続きをする必要があります。
大体の海外業者の公式サイトに法人口座専用の口座開設フォームというものがありますので、そちらから口座開設申請を行い、別途指定された書類を提出する。
というのが簡単で大まかな流れになっています。
後から詳しく説明しますが、iForexのような、法人化はできるのに、法人口座フォームがない業者も存在しますので注意してください。
そして、必要な提出書類については、個人口座の場合は「現住所証明書」「身分証明書」の2点の海外FX業者が多いのですが、法人口座の開設では必要な書類の数が増えます。
法人口座開設にあたっての注意点
海外FXで法人化をするにあたっていくつかの注意点がありますので、詳しく説明していきます。
副業NGのサラリーマンは法人化は絶対NG
サラリーマンがFXを法人化する場合、勤め先の規則をよく確認するようにしてください。
最近では、政府でも副業を解禁していたりと副業規制外緩くなってきていますが、まだまだ会社単位では副業を禁止しているところも、見受けられます。
もしあなたが務めている会社が、副業断固拒否の会社だとすると、絶対に海外FXの口座を法人化してはいけません!

副業や兼業が禁止されている会社に勤めているのなら、FXの法人化は控えたほうが良いでしょう。
個人FXで会社にバレない方法は、以下の記事を参考にしてみてください

法人口座開設ができるおすすめ業者と開設方法
1位 AXIORY
- 公式サイトの「口座開設」>「法人口座」に進む
- 会社情報、取締役様情報を入力する
- 財務状況、投資経験について設問に答える
- 必要書類を提出する(後で提出も可)
- 口座タイプ、レバレッジ、取引通貨などを選択し「送信」をクリック
- 審査完了後、ログインIDとパスワードがメール送付される
AXIORYの法人口座は、公式サイトの法人口座開設フォームから開設することができます。
法人口座開設に必要な提出書類一式は次のとおりです。カスタマーサポートあてにメール添付で提出します。
- 法人確認書類
- 株主名簿/出資者名簿
- 法人住所確認書類
- 取締役現住所確認書類
- 取締役決定書
国内FXのように郵送で書類提出する必要はなく、すべてオンライン上で完了します。
AXIORYでは、法人口座の開設を申し込むと、専門コンシェルジュ窓口が提供されるとともに、運用資金量・ボリューム・期間によって、特別スプレッドが提供される場合があります。
AXIORYは、スプレッド、手数料を含めた取引コストが非常に安く抑えられるとともに、信託保全のある安全性の高い海外FX業者です。
2位 HOTFOREX
- 公式サイトの「ライブ口座開設」>「顧客タイプ」の「法人」を選択
- 会社情報、代表者情報を入力
- 取引(基軸)通貨などを選択し「登録」をクリック
- ログインID、パスワードが送付される
- 専任スペシャリストから連絡があり、指示に従う
HotForexでは、公式サイトの専用フォームから、法人口座を開設することができます。
専用フォームが用意されてはいるものの、申請後、専任スペシャリストから連絡があり、手続きは基本的に個別相談により進められることになっています。
法人口座開設のために必要な提出書類については公式サイトに記載がありませんので、専任スペシャリストに相談しながら、必要な書類を揃えましょう。
HotForexは、3か国において金融ライセンスを取得しており信頼性が高く、日本語サポートも完全対応しているので安心して利用できる海外FX業者です。
3位 iForex
- iForexのカスタマーサポートに連絡し、法人口座開設を希望する旨を伝える
- 書類がPDFでメール送付されるので、必要事項を記入して返信する
- 受理完了メールが送付される
- カスタマーサポートの指示に従い、必要書類を提出する
- 審査完了後、ログインIDとパスワードがメール送付される
iForexの公式サイトには、法人口座開設のための専用フォーム存在しません。
そのため、法人口座を開設したい場合は、まずはiForexのカスタマーサポートに連絡する必要があります。
iForexのカスタマーサポート(日本語対応)
- メール: cs-jp@iforex.com
- 電話:+30-210-374-2583(受付時間:月-金 日本時間13:00-21:00)
カスタマーサポートの指示に従って、登録手続きを進め、必要書類を提出しましょう。
法人口座開設の際に必要な提出書類は次のとおりです。
- 法人登録の証明書
- 法人が外国為替取引を行うことを承諾しているという証明書
- 株主名簿
- 法人住所確認書類
- 取引を行う個人の本人確認書類
- 取引を行う個人の住所確認書類
iForexから送付されるPDFの書類はすべて英語で記載されています。
英語が良く分からない場合は、翻訳のできる専門家に依頼するか、iForexのカスタマーサポートに詳しく聞いて作成することになります。iForexのカスタマーサポートは日本語に完全対応しています。
iForexは、最大レバレッジに制限がなく、また、ロスカット水準が0%という特徴が目を引きます。
まとめ
今回は、海外FXの法人化についてまとめてみました!
法人口座開設による税金面のメリットを理解すれば、個人と法人の差は明確です。
そして、もし、今この記事を見ているあなたが海外FXで500万円以上の利益を出しているとすれば、法人口座に切り替えることで節税できることは間違いないです!!!
今後法人化を検討する際の参考にしてみてくださいね


法人化するタイミングの目安はあくまで目安でもあるため、「600万円の利益じゃまだまだ法人化には程遠い」と少しでも思ったらまだまだ個人口座で利益を出し続けてもいいと思います。
そして、FXの法人化はメリットばかりではありません。
本当に法人化した方が個人よりも良いのか、この記事を参考に検討してみてください。まず、第1に自分が心から納得できる口座でトレードをしましょう。
あなたのトレード活動が成功することを心より願っております。
法人口座の開設におすすめの海外FX業者
コメント